健康診断の種類と診断項目

健康診断の種類

事業主に実施が義務付けられている健康診断は次の通りです。業務内容や労働者数により、診断内容、診断時期、報告義務等が異なりますのでご注意ください。

  • 一般健康診断
    • 雇入時の健康診断
    • 定期健康診断
    • 特定業務従事者の健康診断
    • 海外派遣労働者の健康診断
    • 給食従業員の検便
  • 特殊健康診断
  • じん肺健康診断
  • 歯科医師による健康診断

一般健康診断

雇入時の健康診断

対象となる労働者

常時使用する労働者

実施時期

雇入れ時

報告

必要なし

診断項目
  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査

 

定期健康診断

対象となる労働者

常時使用する労働者(次項の特定業務従事者を除く)

実施時期

定期(1年以内ごとに1回)

報告

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、『定期健康診断結果報告書』を所轄労働基準監督署長に報告

診断項目
  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査
定期健康診断(安衛則第44条)における健康診断の項目の省略基準

定期健康診断については、以下の健康診断項目については、それぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略すること ができます。なお、「医師が必要でないと認める」とは、自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し、医師が総合的に判断することをいいま す。したがって、以下の省略基準については、年齢等により機械的に決定されるものではないことに留意して下さい。

項目医師が必要でないと認める時に左記の健康診断項目を省略できる者
身長20歳以上の者
腹囲①40歳未満(35歳を除く)の者
②妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者
③BMIが20未満である者(BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2)
④BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者
胸部エックス線検査40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない者
①5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の者
②感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている者
③じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者
喀痰検査①胸部エックス線検査を省略された者
②胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、 血糖検査、心電図検査35歳未満の者及び36~39歳の者

 

特定業務従事者の健康診断

対象となる労働者

次の業務のいずれかに常時従事する、特定業務従事者

  • 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  • 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  • ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
  • 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
  • 異常気圧下における業務
  • さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
  • 重量物の取扱い等重激な業務
  • ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  • 坑内における業務
  • 深夜業を含む業務
  • 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
  • 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
  • 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
  • その他厚生労働大臣が定める業務

深夜業の業務に常時従事する労働者とは、深夜業(午後10時から午前5時までの間に業務に従事)を1週に1回以上又は1月に4回以上行う者となります。

実施時期
  • 上記特定業務への配置替えの時
  • 定期(6月以内ごとに1回)※定期健康診断を1回としてカウント可
報告

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、『定期健康診断結果報告書』を所轄労働基準監督署長に提出

診断項目

定期健康診断と同一の項目(省略も同一)となります。ただし「胸部エックス線検査」は、1年以内ごとに1回、定期に行えば足りるとされています。

 

海外派遣労働者の健康診断

対象となる労働者

海外に6ヶ月以上派遣する労働者

実施時期
  • 海外に6月以上派遣する時
  • 帰国後国内業務に就かせる時
報告

必要なし

診断項目

定期健康診断と同一の項目となります。

特殊健康診断

対象となる労働者

次の有害な業務に常時従事する労働者

  • 屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者 (有機則第29条)
  • 鉛業務に常時従事する労働者 (鉛則第53条)
  • 四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者 (四アルキル鉛則第22条)
  • 特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者及び過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る) (特化則第39条)
  • 高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者 (高圧則第38条)
  • 放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者 (電離則第56条)
  • 除染等業務に常時従事する除染等業務従事者 (除染則第20条)
  • 石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者及び過去に従事したことのある在籍労働者 (石綿則第40条)
実施時期
  • 雇入れ時
  • 配置替えの時
  • 定期(6月以内 ごとに1回)
報告

全ての事業者は、遅滞なく所轄労働基準監督署に報告

診断項目

従事する特殊業務ごとに、特別な健康診断項目が定められています。詳しくは お問い合わせください

じん肺健康診断

対象となる労働者

じん肺法施行規則に定められた29種類の粉じん作業のいずれかに常時従事し、または従事したことのある労働者。

実施時期
  • 就業時(新たに常時粉じん作業に従事する時)
  • 定期
    • じん肺所見:無 → 3年に1回
    • じん肺所見:有 → 1年以内ごとに1回
  • 定期外(じん肺有所見またはその疑いある時等)
  • 離職時
報告

毎年年末(12月31日時点)における実施状況について、翌年2月末日までに『じん肺健康管理実施状況報告』を所轄労働基準監督署に提出。
※ 本報告は、本年中にじん肺健康診断を実施しなかった場合でも、報告する必要があります。

診断項目
  • 粉じん作業についての職歴の調査
  • 胸部X線写真による検査(胸部全域の直接撮影)

歯科医師による健診

対象となる労働者

塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所に おける業務に常時従事する労働者(安衛則第48条)

実施時期
  • 雇入れ時
  • 配置替えの時
  • 定期(6月以内 ごとに1回 )
報告

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、遅滞なく所轄労働基準監督署に報告

診断項目
  • 現場での業務歴、仕事内容、健康状態などの問診等

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